1/26、27、30トークイベント関連3本あります


あけましておめでとうございます。渡邉大輔です。今年もよろしくお願いいたします。
さて、五月雨式に、直近のイベント3本の告知です。

まず、1月26日(日)に、映画美学校試写室で開催される『アジア映画で<世界>を見る』(作品社)の刊行記念イベントに出演し、アピチャッポン・ウィーラセタクンメコンホテル』の上映後に、福間健二さんとトークします。

アジア映画で〈世界〉を見る――越境する映画、グローバルな文化

アジア映画で〈世界〉を見る――越境する映画、グローバルな文化

公式サイトはこちら⇒http://www.athenee.net/culturalcenter/program/as/sekai.html

特集 アジア映画で〈世界〉を見る

2014年1月26日(日)・2月2日(日)
会場:映画美学校試写室


メコンホテル


石の賛美歌


THE DEPTHS

評論集「アジア映画で〈世界〉を見る 越境する映画、グローバルな文化」(作品社)刊行記念。重要作品の上映とトーク、講義、シンポジウムによる各プログラムから、アジア映画の境界線を多角的に探っていきます。


「アジア映画で<世界>を見る 越境する映画、グローバルな文化」(作品社刊)は、「映画」と現実の「世界」の関係性を問題にしている。ここでは、それをさらに発展させ、アジアで最も先鋭的な監督、アピチャッポン・ウィーラセタクンに関して、本書の執筆者二人が異なる視点からトークを行う。また本書のキーワードの一つである「政治性」という観点から、イスラエル映画史についての講義と、パレスチナ映画に関するトークを行い、対立する国家の映画表象から何が炙り出されるのかを探る。エドワード・ヤンのシンポジウムでは「過去の映画を読み直す」こと、また演劇批評家と映画監督という異種混合のセッションによる多角的な検討が、その全体像を豊かに照らし出すだろう。それらを統べる編者三人でのトークは、本書で行った様々な試みを検証する。それぞれが、アジア映画を通して「世界」を捉え直し切り拓く試みとなるはずだ。
夏目深雪(批評家)



■上映スケジュール
1月26日(日)
13:00-上映「メコンホテル」(61分)
 +トーク「アピチャッポンの亡霊(ファントム)」:福間健二、渡邉大輔
15:30-講義「徹底・即解 イスラエル映画史」:四方田犬彦
18:30-シンポジウム「エドワード・ヤン以前/以後」:筒井武文、森山直人、舩橋淳

2月2日(日)
13:00-上映「メコン・ホテル」(61分)
14:30-上映「石の賛美歌」(105分)
 +トークパレスチナの映画と現在」:土井敏邦、金子遊
17:45-上映「THE DEPTHS」(121分)
 +トーク「アジア映画の境界線」:石坂健治、野崎歓、夏目深雪

■プログラム



メコンホテル

プログラム1
「アピチャッポンの亡霊(ファントム)」

上映:「メコンホテル」2012(61分)監督=アピチャッポン・ウィーラセタクン
トーク福間健二(詩人・映画作家)、渡邉大輔(映画批評家

メコンホテル』は物議を醸す、多面体のような映画である。アピチャッポン映画ではお馴染みの怪異について、本書で渡邉大輔氏はアジアを跋扈しながら緩く繋ぐ「亡霊」の一変種であると論じ、福間健二氏はそこに「アジアを超えたいアジア」を見出す。気鋭の映像論者と詩人・映画作家との語らいは、アピチャッポンについての新たな視座を拓くであろう。(夏目深雪)


プログラム2
「徹底・即解 イスラエル映画史」

講義:四方田犬彦(映画研究者)
※参考上映(抜粋):「さまよえるオデッド」(1932/監督=ハイム・ハラフミ)「月に空いた穴」(1965/監督=ウリ・ゾハール)■ビデオ上映/英語字幕付き・日本語字幕無し

いまイスラエル映画を観るとはどういうことか。四方田犬彦が、イスラエルの国家成立の根底にあるシオニズムがいかにスクリーンに表象されたかを検討する。パレスチナ時代の最初の劇映画『さまよえるオデッド』と、国家成立後にシオニズムを軽妙に風刺した『月に空いた穴』を部分上映し、イスラエル映画史を概括する。(四方田犬彦


プログラム3
エドワード・ヤン以前/以後」

シンポジウム:筒井武文映画作家)、森山直人(演劇批評家)、舩橋淳映画作家

死後も愛され続けるエドワード・ヤンの映画。本書では、「古典」「演劇」というキーワードで、演劇批評家の森山直人氏がヤンの映画に新たな光を当てている。今回は、筒井武文監督と、ヤンの映画作りに多大な影響を受けているという舩橋淳監督を迎え、初期から後期への主題や映像の変化を見ながら、ヤンが変えたのは一体何かを探る。(夏目深雪)



石の賛美歌

プログラム4
パレスチナの映画と現在」

上映:「石の賛美歌」1990(102分)監督=ミシェル・クレイフィ
トーク土井敏邦(ジャーナリスト・映画作家)、金子遊(映像作家・批評家)

パレスチナ映画とは抵抗の歴史である。イスラエル占領下で出会い、投獄され、再会する男女の愛の物語に、インティファーダの記録映像が交錯する『石の賛美歌』を上映。ジャーナリストであり、『沈黙を破る』等の映像作品も手がけた土井敏邦監督と、本書でパレスチナイスラエル映画論を執筆した金子遊が、パレスチナ映画を論じる。(金子遊)



THE DEPTHS

プログラム5
「アジア映画の境界線」

上映:「THE DEPTHS」2010(121分)監督=濱口竜介
トーク:石坂健治(映画研究者)、野崎歓(フランス文学者)、夏目深雪(批評家)

アジア映画を捉え直すということは、その境界線を探ることだ。編者の三人が、自身のアジア映画歴を振り返り、本書で行った様々な試みを検証しながら、「アジア映画がどこに行くのか」を語り合い、未来に拓くための提言をする。上映は、夏目深雪の論考で国際共同製作の例として挙げられている濱口竜介の『THE DEPTHS』。(夏目深雪)

そして、翌27日(月)、僕が非常勤講師を務めている日本大学芸術学部映画学科の他学科公開講義「映画特講3」(江古田校舎、4限)の中で、映画批評家の萩野亮さんの特別講義+トークセッションを行ないます。
以下概要です。モグリ可能なので、関心あるかたはどうぞ。
萩野さんのTwitterhttps://twitter.com/ryohagino

映画学科特別講義
映画特講Ⅲ(他学科公開授業)1月27日 月曜4限(14時40分〜16時10分)

萩野亮氏 特別講義×トークセッション
「ドキュメンタリー化する現代――ドキュメンタリーカルチャーカルチャーの魅力」
 今年度の「映画特講Ⅲ」の授業では、後期を通じて、主に現代日本ドキュメンタリー映画が持つ映画史を含めた広い文化史的背景との関わりとその表現の変遷を、代表的な作品の鑑賞を通して講義してきました。
 ある意味で、映画史のはじまりと同時に産声をあげ、はるか今日までさまざまな変化を経ながら進化してきた「ドキュメンタリー」と呼ばれるジャンルは、しばしばいわれるように、映像表現やその受容環境が多面化、多様化した現在、かつてなくひとびとの注目を集めています。フィクション映画とは一線を画しながらも、「映画」というジャンルの深い核の部分に届くような独自の表現として紡がれてきたドキュメンタリーが、私たちに与える魅力の源泉とは何なのか、映画史にとってどのような意味を持つのか、そして、21世紀の映画文化にとってどのような影響をもたらしてゆくのか。
 今年度の授業の締めくくりとして、外部からのゲストスピーカーを招き、改めて実際の作品を鑑賞しながら、「ドキュメンタリーカルチャー」の魅力と可能性を考えてみたいと思います。

※特別講義は、冒頭、萩野亮氏による40分ほどのレクチャーのあと、講師の渡邉との対話という形式で進めていく予定です。

【ゲスト講師紹介】
萩野亮(はぎの・りょう) 氏
1982年生まれ。映画批評。ドキュメンタリーカルチャーマガジン『neoneo』編集委員立教大学大学院現代心理学研究科修士課程修了。現在、立教大学非常勤講師。「フレデリック・ワイズマンのすべて」などの上映カタログ解説や、『キネマ旬報』『映画芸術』などに、ドキュメンタリー、映画、演劇など幅広く批評や書評を執筆。編集主幹として2012年に創刊した『 neoneo』は現在まで3号を数える。編著に『ソーシャル・ドキュメンタリー――現代日本を記録する映像たち』(フィルムアート社、2012年)、共著に『アジア映画の森――新世紀の映画地図』(作品社、2012年)『アジア映画で<世界>を見る――越境する映画、グローバルな文化』(作品社、2013年)。

【講師】
渡邉大輔(わたなべ・だいすけ)
1982年生まれ。日本大学芸術学部映画学科非常勤講師。著作に『イメージの進行形――ソーシャル時代の映画と映像文化』(人文書院、2012年)、共著に『ソーシャル・ドキュメンタリー――現代日本を記録する映像たち』(フィルムアート社、2012年)『映画史を学ぶクリティカル・ワーズ(新装増補版)』(フィルムアート社、2013年)『アジア映画で<世界>を見る――越境する映画、グローバルな文化』(作品社、2013年)など。

さらに、30日(木)、20時から、佐々木敦さんと約1年ぶりに、新著『シチュエーションズ』をめぐって、Ustreamで対談します。
詳細はこちら⇒http://www.kineattic.com/cinepo01.html#info

2014.1.30 THU
CINEPOSIUM#1〜「以後」の震災・フィクション・アート

出演:渡邉大輔、佐々木敦

KINEATTICと映画批評家・渡邉大輔の共同主催によるUSTREAMトーク番組 "CINEPOSIUM"。
毎回、映画・映像分野を中心に多方面で活躍するゲストを迎え、2010年代のカルチャーシーンと話題のテーマについてアツく、
ゆるく、幅広くトークする隔月のWEB配信イベントです。

第1回は "CINEPOSIUM" 開催記念&佐々木敦『シチュエーションズ「以後」をめぐって』刊行記念として、
批評家の佐々木敦さんを迎え、"「以後」の震災・フィクション・アート" をテーマにトークを行います。

SCHEDULE:20:00

SCREEN:USTREAMにて生放送

CHARGE:無料

※本イベントはKINEATTICのUSTREAMチャンネルにて配信されます。

もろもろよろしくお願いします。