10月26日(土)「日本映画教育史のフロンティア」@日本マス・コミュニケーション学会&10月28日(月)第5回@渋谷ヒカリエ「8/」COURT


渡邉大輔です。
今月末に、日本マスコミ学会のワークショップと、恒例の映画上映イベントに登壇/出演します。

一つ目は、10月26日(土)14時40分から、上智大学で開催される日本マス・コミュニケーション学会2013年度秋季研究発表会で、「日本映画教育史のフロンティア――イメージの過去・現在・未来」というワークショップの問題提起者として登壇します。討論者は、今年、大著『ポスト活字の考古学』を上梓された防衛大学校講師の赤上裕幸さんです。

ポスト活字の考古学―「活映」のメディア史1911‐1958

ポスト活字の考古学―「活映」のメディア史1911‐1958

以下が当日のプログラム⇒http://www.jmscom.org/event/annual_meeting/13fall/273_4.pdf
以下がワークショップテーマの要旨⇒http://www.jmscom.org/event/annual_meeting/13fall/273_5.pdf

本ワークショップでは、日本映画教育史について取り上げる。日本で映画教育が本格的に導入されるようになったのは、1928年に大阪毎日新聞社(大毎)が映画教育の推進を目的として全日本活映教育研究会を発足して以降のことである。当時の大毎活動写真班主務・水野新幸は低級な娯楽として一般に認識されていた「映画」ではなく、教育的文化的使命を持つ映画については「活映」という用語をあてた。さらに水野は、活字が観念的な人間ばかり生み出したことを批判し、具体的な映像によって知識を獲得する「活映文化」の到来を期待していた。そこには、映画を「ポスト活字」メディアとして期待する視点が含まれていた。映画は、1920年代から30年代にかけてニューメディアの段階にあり、映画教育の歴史は、メディア史の一領域としての側面のみならず、「ニューメディア史」としての側面もあわせ持つ。こうした点を鑑み、本ワークショップでは、映画教育史の考察を軸にしつつ、映像メディアの現在さらには未来における可能性について議論を行う。
問題提起者の渡邉大輔は、博士論文「日本映画における児童観客の成立―戦前期の映画教育運動との関わりから」(日本大学大学院芸術学研究科、2011年)を提出し、さらに『イメージの進行形』(人文書院、2012年)の中では、スマートフォンYouTubeといったソーシャル時代の映像文化に焦点を当て、日々刻々と変化するイメージの総体を捉えて、「映像圏」という新たな概念を提唱している。もちろん過去と現在がそのまま直結するわけではないが、「電子書籍元年」が謳われ、電子ブックなど情報機器の教育利用が叫ばれる現在のメディア状況を考慮に入れた時に、映画教育史の考察はメディア史研究においても新たな視座を与えてくれるのではなかろうか。
討論者の赤上裕幸は、博士論文「日本映画教育史における「次に来るメディア」の知識社会学的研究」(京都大学大学院教育学研究科、2011年)を改稿する形で、『ポスト活字の考古学』(柏書房、2013年)を出版した。赤上は、鶴見俊輔『期待と回想』(朝日文庫、二〇〇八年)の議論を参考にしつつ、「期待のメディア史」というアプローチを採用した。それによって、当時の人々が映画という最先端のメディアに抱いた期待感、あるいは活字文化の行き詰りに対して抱いた不安や焦燥にスポットライトを当てた。『ポスト活字の考古学』には、東洋初のロボットである「学天則」を完成させた西村真琴や、戦前に『子供の科学』を創刊して、戦後は火星の土地を売るという奇抜なアイディアを実行に移した原田三夫などの少し変わったメディアに関連する言説も多数登場する。
まずは、映像の現在進行形の事象に関心を寄せる渡邉と、映画史のなかの未来に注目する赤上によって、メディア史に取り組む方法論についても議論しつつ、これらのアプローチが他のメディア史研究においても有効なのかどうか、ワークショップの参加者も含めて議論を深めていきたい。
なお、映画教育の先駆者である水野新幸が1933年に製作した論文フィルム『非常時日本』(東京裁判でも証拠資料として上映された)については、実際の映像を見ることができるので、映像資料も用いつつ、映像教育の可能性(不可能性)にも触れる予定である。

続いて、28日(月)には渋谷ヒカリエで、の第5回があります。
http://www.cineaste30.com/info/movie-info/20131028.html
今回のゲスト監督は、『美しい術』『適切な距離』の大江崇允監督と、『新世界の夜明け』『Fly Me to Minami〜恋するミナミ』のリム・カーワイ監督です。

[第5回] 2013年10月28日(月) 19:00 @渋谷ヒカリエ「8/」COURT

October 3, 2013 5:33 PM


第1部 - 映画上映
『もう一つのアフター・オール・ディーズ・イヤーズ|放蕩息子の帰還』(監督:リム・カーワイ)
『かくれんぼ』(監督:大江崇允)


第2部 - トークイベント (USTREAM配信あり)
MC:渡邉大輔 Guest:リム・カーワイ、大江崇允


料金:無料 (※開場は18:30から、座席はご予約の方優先でのご案内となります。)

会場:渋谷ヒカリエ「8/」COURT

ご予約:http://www.kineattic.com/cineaste30


企画・運営:DREAM KID + KINEATTIC
特別協力:渋谷ヒカリエ 協力:Creative Lounge MOV
USTREAM配信:VCL (Visual Creators Laboratory)
機材・技術協力:株式会社フジヤエービック プロショップ


(※USTREAM中継は高画質配信のため、インターネット回線やPCの環境により視聴しにくい場合があります。)

僕は、リム・カーワイ監督とは、今回、初対面。とはいえ、真利子哲也監督や三宅唱監督などあちこちで話は伺っています。
大江監督は、昨年春にお会いしてから『適切な距離』の上映のトークゲストで呼んでいただいたり、旧知の仲です(笑)。
『適切な距離』と『新世界の夜明け』の予告編です。


よろしくお願いします。