『週刊金曜日』書評委員になりました&新刊共著『ポストヒューマニティーズ』『映画史を学ぶクリティカル・ワーズ』7/25刊行


渡邉大輔です。
最近の仕事について、簡単に五月雨式に告知します。

まず、7月から週刊総合誌週刊金曜日』さんで、書評委員を担当させていただくことになりました。
公式サイト⇒週刊金曜日公式サイト
ほかの書評委員は、ライター・書評家の石井千湖さん、倉本さおりさん、歌人の山田航さん。とりあえず半年ほど務めます。
すでに、先週(7月19日号)で第一回に、國分功一郎さんの新著『ドゥルーズの哲学原理』(岩波書店)の書評を書きました。

ドゥルーズの哲学原理 (岩波現代全書)

ドゥルーズの哲学原理 (岩波現代全書)

今週号(7月26日号)では鈴木涼美さんの『「AV女優」の社会学』(青土社)について書いています。煩雑になるので、ブログでいちいち告知することはないと思いますが、目に止まったらお読みください。
よろしくお願いします。

今週、新刊の共著を同時に2冊刊行します。

まず、1冊目は、僕の仕事の読者ならばお馴染みの、「限界研」の5冊目の評論集『ポストヒューマニティーズ――伊藤計劃以後のSF』(南雲堂)。
タイトル通り、限界研(そして僕にとって)はじめてのSF論集です。今年は日本SF作家クラブ創立50周年ですが、「日本SFの夏」とも呼ばれるここ最近の日本SFの活況について迫った大部の評論集です。が、僕は空気を読まず、80枚ほどのSF映画論を書きました(笑)。
・論考「SF的想像力と映画の未来――SF・映画・テクノロジー」(限界研編『ポストヒューマニティーズ――伊藤計劃以後のSF』、南雲堂)

ポストヒューマニティーズ――伊藤計劃以後のSF

ポストヒューマニティーズ――伊藤計劃以後のSF

以下が目次。

序論 日本的ポストヒューマンの時代(藤田直哉

第一部 日本的ポストヒューマンの諸相
伊藤計劃以後」と「継承」の問題——宮内悠介『ヨハネスブルグの天使たち』を中心に(岡和田晃
カオスの縁を漂う言語SF——ポストヒューマン/ヒューマニティーズを記述する(海老原豊
人間社会から亜人へと捧ぐ言葉は何か——瀬名秀明「希望」論(シノハラユウキ)
肉体と機械の言葉——円城塔石原慎太郎、二人の文学の交点——(藤井義允)
新世紀ゾンビ論、あるいはHalf-Life半減期)(藤田直哉


第二部 浸透と拡散、その後
アンフェアな世界——『ナウシカ』の系譜について(山川賢一)
虚構内キャラクターの死と存在——複岐する無数の可能世界でいかに死を与えるか(小森健太朗
SF的想像力と映画の未来——SF・映画・テクノロジー(渡邉大輔)
科学幻視——新世紀の本格SFミステリ論(蔓葉信博
ネット小説論——あたらしいファンタジーとしての、あたらしいメディアとしての(飯田一史)

現代日本SFを読むための15のキーワード

今回の実質的な編集長は、『虚構内存在』の藤田直哉さんです。
こちらのサイトから序文立ち読みもできます。⇒http://www.nanun-do.co.jp/mystery/book01poshu.html
刊行記念イベントも企画されているようなので、こちらもお楽しみに。

もう1冊は、村山匡一郎先生が編者となった、『映画史を学ぶクリティカル・ワーズ』(フィルムアート社)の「新装増補版」です。
同書は2003年の刊行以来、映画史のスタンダードな教科書的キーワード集として版を重ねてきましたが、このほど2000、2010年代の項目を付加した増補版が出されることになり、僕はその新項目のいくつかの執筆を担当しました。
担当した項目は以下。
「インターネットと映画」「アニメの成熟」(以上、2000年代)「ソーシャルメディアと映画」「モバイル機器と映画」「若手インディペンデント映画シーンの活況」「観客のライブ志向」「アニメーションのデジタル技術」「松江哲明」(以上、2010年代)

映画史を学ぶ クリティカル・ワーズ【新装増補版】

映画史を学ぶ クリティカル・ワーズ【新装増補版】

公式サイト⇒映画史を学ぶクリティカル・ワーズ【新装増補版】 | 動く出版社 フィルムアート社
以下が目次。

デジタル・グローバリズム時代に
知っておきたい映画史キーワード!

映画史に関わる重要な人物や出来事、理論的な言説などを網羅的に取り上げロングセラーを続ける映画事典。映画を学び研究するための決定版である本書に、〈2000年代〉と〈2010年以降〉の項目を新たに加筆。
映画前史からフィルムカルチャー全盛期、そしてデジタルが加速する2010年代まで。映画の歴史には、技術や産業、世相が色濃く反映され、作品や表現は常に更新されていきます。21世紀を歩み始めた映画を読み解き、映画をもっと深く、もっと面白く見る/学ぶための必携書です。

■ 鑑賞・研究・批評にコンパクトに使える映画事典
■ 2000年代、2010年代以降の項目を加筆した新装増補版!

第1章 〈1895年まで〉映画の誕生前夜、「動く映像」への試作期
第2章 〈1895〜1900年代末〉シネマトグラフの誕生、「驚き」から「物語」へ
第3章 〈1900年代末〜1910年代〉パテ社、MPPCなど産業システムの始動期
第4章 〈1920年代〉夢の工場、アヴァンギャルド、モダニスムの高揚期
第5章 〈1930年代〉無声映画からトーキーへ、夢と現実の交差
第6章 〈1940年代〉戦争下のプロパガンダ、国策映画時代
第7章 〈1950年代〉娯楽王国の変調、ハリウッド・システムの凋落期
第8章 〈1960年代〉自由と新しい波の台頭、撮影所システムから離れて
第9章 〈1970年代〉ニュー・ハリウッドの誕生、香港、インド映画の台頭
第10章 〈1980年代〉マルチプレックス化と多様なヴィジュアライゼーションの実験
第11章 〈1990年代〉空前のインディーズ・ブーム、そして新しい世紀へ
第12章 〈2000年代〉情報社会の幕開けと液状化するリアリティ、ハリウッドの苦悩
第13章 〈2010年以降〉立ち上がるソーシャルとクラウド、デジタル時代の新たな地平

村山匡一郎
日本大学芸術学部教授。映画の批評、研究、翻訳、教育などを中心に活動。著訳書に『世界映画全史』(共訳、国書刊行会)、『ひきずる映画』(編著、フィルムアート社)など。第1〜3章ほかを執筆。

奥村賢
いわき明星大学人文学部教授。映画/映像研究。編著書に『世界映画大事典』(日本図書センター)、『映画と戦争』(森話社)、訳書に『アンゲロプロス 沈黙のパルチザン』(フィルムアート社)など。第4・5章を執筆。

西村安弘
東京工芸大学芸術学部映像学科教授。映画学。論文に「猿若町の子供たち 映画『無頼漢』における歌舞伎とメロドラマの邂逅」、「映画『欲望の法則』における「声」の戦略」など。第6章を執筆。

濱口幸一
1959年生まれ。アメリカ映画史専攻。訳書に『アカデミー賞全史』(文藝春秋)、『ハリウッド脚本術』(フィルムアート社)ほか。編著書に『〈逆引き〉世界映画史!』など。第7・9章を執筆。

岡村民夫
1961年生まれ。法政大学国際文化学部教授。専攻は表象文化論、言語論。著書に『旅するニーチェ リゾートの哲学』(白水社)、訳書に『デュラス、映画を語る』(みすず書房)ほか。第8章を執筆。

石原陽一郎
1962年生まれ。フランス文学・映画論。立教大学共立女子大学他講師。著書に『タッチで味わう映画の見方』、共編著に『映画批評のリテラシー』(以上フィルムアート社)他。第10〜13章を執筆。

渡邉大輔
1982年生まれ。現在、日本大学芸術学部非常勤講師、跡見学園女子大学兼任講師など。専攻は日本映画史・映画学。著書に『イメージの進行形』(人文書院)、共著に『日本映画の誕生』(森話社)など。第12・13章の項目を執筆。

今年はあともう1冊、共著の映画本が刊行される予定ですが(あれはその後音沙汰がないが結局どうなったのだろう、春先の依頼のさいはすごく焦らされたのに…)、この2冊も手に取っていただければうれしいです。
よろしくお願いします。