8/1-8/22第2期&6/28同キックオフイベント「今、ここから始まる批評」出演@映画美学校


渡邉大輔です。
今月から夏にかけての映画美学校でのイベント出演のお知らせです。
時期が前後しますが、まず、8月1日(木)から計3回にわたって、渋谷の映画美学校で7月末から開催される約半年にわたる「批評家」養成講座<批評家養成ギブス>第2期に、メイン講師の一人として出演いたします。
批評家養成ギブスは、批評家・早稲田大学教授で、を主宰されている佐々木敦さんが、昨年から映画美学校で主宰しているイベントです。
イベント概要はこちら⇒http://www.eigabigakkou.com/critic
佐々木さんによる説明文。

批評力を獲得するために
佐々木敦(批評家/批評家養成ギブス主任講師)

批評は誰にだって出来る。
だが、それは大変難しい営みでもある。
批評とは、まず第一に「世界」に対する感応と、
そこから開始される思考と、
それを外へと開いてゆくための方法のことだ。
膨大な事象と情報の交錯の中から、
自分にとって価値と意味のある何かを発見し、
それらと自分自身の間で何が起きているのかを考え抜き、
そしてその考え自体を他者へと伝達可能なものへと変換する技術、
それが批評である。
批評とは何よりもまず言葉によるものだが、
批評力の訓練の効用は文筆の範疇のみには留まらない。
何かと遭遇し、それについて思考し、
誰かにそれを表現するという一連の行為としての「批評」は、
この世界、この社会、この時代を生き抜くための、
真に有効な武器足り得る。

特定のジャンルに根ざさない、それゆえにこそ複数のジャンルに対応し得る、新しいタイプの「批評家」の育成を目指します。

全20回の講義で、理論的/歴史的な把握から諸ジャンルの分析と探究、実際の批評文の執筆、ゲストを招いたゼミナールなどを行なっていきます。

5名の批評家による短期講義(各3回)と3名の特別講師による講義(各1回)、主任講師の佐々木敦による講義(2回)を予定しております。

受講生には課題として批評文の執筆と提出が求められます(任意)。

修了時には受講生有志による批評同人誌の制作、販売、流通などのバックアップを行ないます。

以下、講師陣とスケジュールです。

批評家養成ギブス講師紹介

佐々木敦(批評家)
音楽レーベルHEADZ主宰。雑誌エクス・ポ編集発行人。早稲田大学文学学術院教授。著書『批評時空間』『未知との遭遇』『小説家の饒舌』『即興の解体/懐胎』『「批評」とは何か?』『ニッポンの思想』『文学拡張マニュアル』『絶対安全文芸批評』『テクノイズ・マテリアリズム』 『ex-music』『ゴダール・レッスン』など多数。

東浩紀(作家・思想家)
1971年 東京生まれ、作家、思想家。ゲンロン代表取締役。東大大学院博士課程修了。国際大学グローバルコミュニケーションセンター副所長、東京大学客員助教授、早稲田大学教授、東京工業大学特任教授などを歴任。博士(学術)。専門は哲学、情報社会論、表象文化論。主な著書に『存在論的、郵便的』(1998年、サントリー学芸賞)、『一般意志2.0』(2011年、英訳中)など。(写真撮影:新津保建秀

大澤真幸社会学者)
1958年、松本生まれ。東京大学社会学研究科修了。社会学博士。千葉大学助教授、京都大学大学院教授等を歴任。著書に、『ナショナリズムの由来』(講談社毎日出版文化賞)、『〈世界史〉の哲学』(講談社)、『生権力の思想』(ちくま新書)、『ふしぎなキリスト教』(共著、講談社現代新書中央公論新書大賞)、『資本主義という謎』(共著、NHK出版新書)等。(写真撮影:尾崎誠)

四方田犬彦(映画学・比較文化
言語と映像の分析を中心に、批評研究活動を行う。コロンビア大学ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学、中央大学校(ソウル)などで客員教授・研究員を歴任し、明治学院大学で長らく教授を務めた。現在は執筆に専念。近著として、30年かけて完成した『ルイス・ブニュエル』(作品社)、『マルクスの3つの顔』(亜紀書房)、『日本の漫画への感謝』(潮出版社)がある。伊藤整文学賞桑原武夫学芸賞サントリー学芸賞などを受けた。

石井千湖(ライター・書評家)
新明解国語辞典を引いてみたところ、書評とは〈[読者のために]新刊の書物の内容を紹介・批評した文章〉だそうです。[読者のために]ってどういうこと? 紹介と批評のちがいは? おもしろい書評って? みなさんと一緒に考えていけたらうれしいです。

1973年生まれ。大学卒業後、8年間の書店勤務を経て、現在は「MORE」「日経ウーマン」「DRESS」などで書評やインタビューを執筆。オールアバウト「話題の本」のガイドもつとめる。 http://allabout.co.jp/gm/gt/1706/

金子遊(映像作家・批評家)
映画の編集と批評行為はよく似ている。私は素材をつなげて、ひとつの筋をつくりあげていく。そこに「私」は写っていないのだが、全体に私がみなぎっている。そして、その映画も批評文も「私」の作品であろう。このところ、編集と批評が楽しくて仕方がないのだが、はたしてそれは私なのか、それとも「私」の方なのだろうか。

映像作家、批評家、慶應義塾大学非常勤講師。1974年生まれ、神奈川県出身。編著に『フィルムメーカーズ 個人映画のつくり方』、共著に『吉本隆明論集』『アジア映画の森』『このショットを見よ』など。ドキュメンタリーマガジン「neoneo」編集委員。劇場公開作に『ベオグラード1999』がある。『現代詩手帖』に「映像詩の宇宙」を連載中。

九龍ジョー(ライター・編集者)
目の前に開けている世界について誰かに伝えること。ぼくはそれをre-portと分かち書きして考えます。つまり港は二度使われる。何を受け取り、何を手渡すのか。どう読み、どう書くのか。どのように感じ、どのように表現するのか。ポーターのようにガシガシ動きながら、普段あまり使わない筋肉を鍛えていきましょう。

Quick Japan』『KAMINOGE』『CDジャーナル』『宝島』 『シアターガイド』『キネマ旬報』の各誌にて連載中。その他、雑誌やパンフな ど幅広く原稿執筆。単行本の編集近刊に、岡田利規『遡行 変形していくための 演劇論』、坂口恭平『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』など。

松村正人(編集者・ライター)
批評は外から迫るものなのか、内から語ることなのか、上から見るものか下から見あげるものか、そういったことを、いろんなものを聴き読みながら、書きつつ、なるべく実践的にみなさんと考えていきたい。批評の危機が叫ばれたこともあったかもしれませんが、まだまだやることはある、というか、批評がそう叫んだわけではないわけですからね。

1972年、奄美生まれ。執筆と編集。1999年から雑誌「STUDIO VOICE」で音楽関連記事を担当。2007〜2008年に雑誌「Tokion」編集長を、2009年から休刊した同年9月号まで「STUDIO VOICE」編集長をつとめた。現在、紙版『ele-king』の編集長。共著に『ゼロ年代の音楽』シリーズ、編著に『捧げる 灰野敬二の世界』。ロックバンド、湯浅湾のベーシスト。

渡邉大輔(映画史研究者・批評家)
批評criticとは、もとをたどれば、自分が依ってたつ自明性を不断に危機criticに晒し、おのれの生の条件それ自体を問い直しつづけるといういとなみです。
だから、批評/批評家とは、「これこれこういうものだ」という定義づけほど、反・批評的な態度はありません。 批評とは、絶えず「批評的」でありつづけようとする不定形のアティチュードです。
わたし自身も足場の崩壊によろめきながら、そのためのささやかなエクササイズを、みなさんといっしょに試みられればと思っています。

1982年生まれ。日本大学芸術学部生産工学部非常勤講師、跡見学園女子大学兼任講師。 専攻は日本映画史・映画学。学術研究の傍ら、2005年に文芸評論家デビュー。『ユリイカ』『映画芸術』『早稲田文学』などに寄稿。著作に『イメージの進行形』(人文書院)、共著に『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)『日本映画の誕生』(森話社)など多数。

批評家養成ギブススケジュール(全20回)


日付 時間 授業 担当
7月25日(木) 20:00-22:00 誰でも批評家になれる(わけではない) 佐々木敦
8月1日(木) 20:00-22:00 「映像圏」と/の批評1 渡邉大輔
8月8日(木) 20:00-22:00 「映像圏」と/の批評2 渡邉大輔
8月22日(木) 20:00-22:00 「映像圏」と/の批評3 渡邉大輔
8月29日(木) 20:00-22:00 「批評」から遠く離れて? 東浩紀
9月5日(木) 20:00-22:00 「小説」を評するということ1 石井千湖
9月12日(木) 20:00-22:00 「小説」を評するということ2 石井千湖
9月19日(水) 20:00-22:00 「小説」を評するということ3 石井千湖
9月26日(木) 20:00-22:00 批評の多面体 四方田犬彦
10月3日(木) 20:00-22:00 「音楽」の現在に向き合う1 松村正人
10月10日(木) 20:00-22:00 「音楽」の現在に向き合う2  松村正人
10月17日(木) 20:00-22:00 「音楽」の現在に向き合う3 松村正人
10月24日(木) 20:00-22:00 批評・社会学・思想 大澤真幸
10月31日(水) 20:00-22:00 サブカルチャーと批評1 九龍ジョー
11月7日(木) 20:00-22:00 サブカルチャーと批評2 九龍ジョー
11月14日(木) 20:00-22:00 サブカルチャーと批評3 九龍ジョー
11月21日(木) 20:00-22:00 文学と映画とアクティビズム1 金子遊
11月28日(木) 20:00-22:00 文学と映画とアクティビズム2 金子遊
12月5日(木) 20:00-22:00 文学と映画とアクティビズム3 金子遊
12月12日(木) 20:00-22:00 批評の極意 佐々木敦

定員は50名。募集要項はこちらです。⇒http://www.eigabigakkou.com/critic_application

ご覧のとおり、メイン講師は、僕と、石井千湖さん、金子遊さん、九龍ジョーさん、松村正人さん。ゲスト講師は、東浩紀さん、大澤真幸さん、四方田犬彦さんです。
最年少の僕はアテネの講演の時と同じ、しょっぱなからの登壇で、僕の次が東さん。超緊張しています。何を話そうか、全然考えていません。

で、この批評家養成ギブスのキックオフイベントが、6月28日(金)20時から、映画美学校試写室であります。
http://www.eigabigakkou.com/topics_detail4/id=406

批評家養成ギブス第2期 キックオフ・イベントのお知らせ

批評家養成ギブス第2期、7月25日(木)開講決定!
開講記念キックオフ・イベントを下記の日程で行います。
是非ご参加ください。

6月28日(金)20:00
「今、ここから始まる批評」
ゲスト(予定):石井千湖、金子遊、九龍ジョー松村正人、渡邉大輔、佐々木敦
会場:映画美学校試写室(KINOHAUS B1F)
料金:1000円(税込/1ドリンク付/当日精算)

参加希望の方は開催前日までに「その他のお問い合わせ」から、必要事項をご記入の上、メッセージ欄に「批評家養成ギブスキックオフイベント」と記載し、お申し込みください。

「その他のお問い合わせ」はこちら

お問い合わせ
映画美学校
〒150-0044  東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS
電話番号:03-5459-1850 FAX番号:03-3464-5507
受付時間(月ー土)12:00-20:00
ウェブサイトからのお問い合わせはこちら

とりあえず、このイベントでの反応を見て、ギブスの講義の内容を考えようかなと思っています。
ぜひ多くのかたのご来場をお待ちしております。
よろしくお願いいたします。