新刊共著/限界研編『21世紀探偵小説 ポスト新本格と論理の崩壊』(南雲堂)


渡邉大輔です。
今日、すでにツイッターなどではちらほら話題になっている、僕の参加する批評系サークル<限界研>の4冊目となる共著評論集『21世紀探偵小説 ポスト新本格と論理の崩壊』(南雲堂)の見本が届きました。
限界研の評論集としては、前著『サブカルチャー戦争』(南雲堂)からおよそ1年半以上ぶりの新刊。本格ミステリ論集ということでは、08年に刊行され、その年の本格ミステリ大賞候補にも選んでいただいた『探偵小説のクリティカル・ターン』以来、4年ぶりの新著ということになります。その間には、『探クリ』で僕が論じた辻村深月さんが、つい先ごろ直木賞を受賞されたりして、ずいぶん本格ミステリをめぐる状況も変わりました。
僕にとっては、9冊目の共著になります。
今回、僕は80枚(!)ほどの「検索型ミステリ」と名づけた現代の一部のミステリ小説をめぐる論文を寄稿しています。

・論考「検索型ミステリの現在」(限界研編『21世紀探偵小説 ポスト新本格と論理の崩壊』、南雲堂)

21世紀探偵小説 ポスト新本格と論理の崩壊

21世紀探偵小説 ポスト新本格と論理の崩壊

以下が目次です。

序論 新本格ミステリの衰退期になすべきこと(飯田一史)

第一部 21世紀的生とミステリ
二一世紀探偵小説と分岐する世界(笠井潔
「変わってしまった世界」と二一世紀探偵神話—清涼院流水舞城王太郎論(飯田一史)
ビンボー・ミステリの現在形—「二一世紀的な貧困」のミステリ的表現を巡って(藤田直哉

第二部 形式性の追求とミステリ
推理小説の形式化のふたつの道(蔓葉信博
検索型ミステリの現在(渡邉大輔)
21世紀本格2—二〇〇〇年代以降の島田荘司スクールに対する考察から(飯田一史)

第三部 ミステリ諸派の検討
新本格ガイドライン、あるいは現代ミステリの方程式(蔓葉信博
叙述トリック派を中心にみた現代ミステリの動向と変貌(小森健太朗
終わりなき「日常の謎」 米澤穂信の空気を読む推理的ゾンビ(海老原豊
現代「伝奇ミステリ」論—『火刑法廷』から〈刀城言耶〉シリーズまで—(岡和田晃
「謎解きゲーム空間」と〈マン=マシン的推理〉—デジタルゲームにおける本格ミステリの試み(藤田直哉
結語 本論集の使用例(飯田一史)
ポスト新本格のためのブックガイド50選

序文が南雲堂の公式サイトから読めます。⇒http://http://www.nanun-do.co.jp/mystery/book01-3-2.html
今回、序文や結語を書き、実質的な編集作業を担当してくださったのは、『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』の著者でもあるメンバーの飯田一史さんです。
また、付録のブックガイドは、都内の大学生から構成された<限界研青年部>のみなさんが中心に手掛けてくださいました。
書棚に立てた感じを写メで撮ってみました。
さらに、これまでの限界研の著作を並べてみた感じも。
ご覧の通り、なかなか重厚な見ためですが、内容もかなり濃密です。確実に、今年の本格ミステリ批評に大きなインパクトを与える論集になると確信しています。
発売までもう少しですが、お楽しみに。