限界研の公式ブログ再スタートしました


渡邉大輔です。
自分の仕事の告知ではないのですが、僕が批評家としてデビューした2005年からずっと参加している、領域横断的な批評サークル<限界研>(以前の<限界小説研究会>から改称)の公式ブログが、昨日はてなで再スタートしました。
こちら⇒限界研blog
ちなみに、旧ブログはアメブロで2010年1月からやっていたのですが、2011年2月で更新が停滞しています。こちら⇒限界小説研究会BLOG
もう7、8年やっていて、これまでに数本の雑誌連載のほか、3冊も共著を出しているこの研究会ですが、ご存じのように主要メンバーの一人である飯田一史氏がこの春、初の単著(『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』)を出したり、あと、実は、少し前から20代前半の大学生たち*1が10人近く新たに加わっていろいろ会の編成を刷新したりしたので、これを機にブログやツイッターなど外部に向けたアナウンスも仕切り直しましょうということになったわけです。
また、顧問格として、研究会の発足時から参加してくださっている笠井潔さんもさきごろ、第12回本格ミステリ大賞を受賞されたこともあり、タイミングとしてはいい時かなと。

さて、この限界研。正直言って、いまだにどういうグループなのか、よくわからないかたもたくさんいると思うのですが(笑)、ブログで研究会のほうから改めて紹介文が掲示されているので、このブログでもコピペして周知しておきますね。

限界研とは
私たち「限界研」(旧・限界小説研究会)は、80年前後生まれの文芸評論家を中心とした現代社会/文化をめぐる定期的な研究会です。この研究会では主に、現代思想や文芸批評、社会学などを中心とした読書会を月に一回、都内の某所にて開き、かつオタク系文化評論(サブカルチャー評論)や情報社会論などに関した批評活動を行っています。

限界研の沿革
本研究会は、当初、本格ミステリ作家・批評家の笠井潔を顧問格とし、数人の若手ライターや文芸評論家の卵たちによって、「先端的なサブカルチャーやインターネット文化に大きな影響を受け、既存のジャンル規則を更新する新しい文学的想像力を備えた小説作品」について考えることを目的に、2000年代半ばに結成されました。

本研究会の結成当時、日本の文学界や若者向けのサブカルチャーの世界では、コミック、アニメなどの「オタク文化」によるサブカルチャー的想像力に大きな影響を受けた作品が、幅広い注目を集めていました。また、そうした文学的/サブカルチャー的想像力の変容に、同時代の批評家たちが鋭敏に反応し、言論の場へ導いていきました。

本研究会もそのような動向に連動し、2006年からe-Novelsにて連載を始めた「限界小説書評」を皮切りに、ミステリ誌「ジャーロ」をはじめ各種媒体にて批評活動を行っております。また、2008年1月には各種ミステリ作家を論じた『探偵小説のクリティカル・ターン』、社会動向を踏まえサブカルチャーを論じる『社会は存在しない』(2009年7月)、『サブカルチャー戦争』(2010年12月)といった単行本を発表しています。

探偵小説のクリティカル・ターン

探偵小説のクリティカル・ターン

社会は存在しない

社会は存在しない

サブカルチャー戦争 「セカイ系」から「世界内戦」へ

サブカルチャー戦争 「セカイ系」から「世界内戦」へ

会員一覧
笠井潔(かさいきよし)
1948年東京生まれ。1979年に『バイバイ、エンジェル』で第5回角川小説賞受賞。主な小説に『ヴァンパイヤー戦争』、『哲学者の密室』、『群集の悪魔』、『吸血鬼と精神分析』、評論書は『テロルの現象学』、『国家民営化論』、『例外社会』など多数。
twitter @kiyoshikasai

小森健太朗(こもりけんたろう)
1965年大阪生まれ。東京大学文学部哲学科卒。1982年『ローウェル城の密室』江戸川乱歩賞候補、1994年『コミケ殺人事件』でデビュー。主な小説は『マヤ終末予言「夢見」の密室』『大相撲殺人事件』『グルジェフの残影』『ネメシスの虐笑』など。『探偵小説の論理学』は第8回本格ミステリ大賞評論・研究部門および第63回推理作家協会賞(評論・その他部門)受賞。
twitter @komorikentarou

  ※

飯田一史(いいだいちし)
1982年生まれ。ライター、文芸評論家。著書に『ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略』。「SFマガジン」で新譜レビュー担当(隔月)。
twitter @cattower
facebook ichishi.iida

海老原豊(えびはらゆたか)
1982年東京生まれ。第2回日本SF評論賞優秀作を「グレッグ・イーガンとスパイラルダンスを」で受賞(「S-Fマガジン」2007年年6月号掲載)。「週刊読書人」「S-Fマガジン」に書評、「ユリイカ」に評論を寄稿。

岡和田晃(おかわだあきら)
1981年生まれ。RPGライター/文芸評論家/翻訳家。2009年「「世界内戦」とわずかな希望――伊藤計劃虐殺器官』へ向き合うために」で第5回日本SF評論賞優秀賞を受賞。著書に『アゲインスト・ジェノサイド』。翻訳書(共著)に『救済の書:トゥーム・オヴ・サルヴェイション』『失われし王冠を求めて』など。
twitter @orionaveugle

蔓葉信博(つるばのぶひろ)
1975年生まれ。ミステリ評論家。2004年デビュー。『ジャーロ』『ユリイカ』などに評論を寄稿。『ミステリマガジン』のライトノベル評担当(隔月)。書評サイト「BookJapan」にてビジネス書のレビュー連載。
twitter @tsuruba

中里昌平(なかざとしょうへい)
1990年生まれ。日本大学芸術学部映画学科入学、同文芸学科在学中。
twitter @shohei2859

藤田直哉(ふじたなおや)
1983年札幌市生まれ。SF・文芸評論家。「消失点、暗黒の塔」で日本SF評論賞・選考委員特別賞を受賞して評論活動を開始(『S-Fマガジン』2008年6月号)。『ダ・ヴィンチ』にて新井素子と「SUPPLEMEMT FICTION」連載中。 東京工業大学価値システム専攻博士課程在学中。
twitter @naoya_fujita

宮本道人(みやもとどうじん)
1989年生まれ。慶應義塾大学理工学部物理学科在学中。同大学のSF研究会にて第49回日本SF大会半公式アフターレポートを含む会誌『HORIZM35』を編纂。

渡邉大輔(わたなべだいすけ)
1982年生まれ。映画史研究者・批評家。2005年に「波状言論」でデビュー。以降、『ユリイカ』『群像』『メフィスト』などで純文学、本格ミステリライトノベル、映画などを横断的に批評。共著に『本格ミステリ08』(「自生する知と自壊する謎 森博嗣論」)、『日本映画史叢書15 日本映画の誕生』など。
twitter @diesuke_w

新会員の中里くんは、昨年、僕の授業にも出ていた学生です(僕が研究会に誘ったんじゃないよ)。
ブログでは、今後、連載やレビュー企画なども始まるので、乞うご期待。
さらに、限界研は、この夏に、『サブカルチャー戦争』以来、約1年半ぶり、4冊目となる共著『21世紀探偵小説』(南雲堂)を刊行する予定でいます。お楽しみに!
今後とも限界研をご贔屓に。あ、新会員も随時歓迎しています。

*1:東大、早大、慶大、中央大、日芸など