戦中期映画国策言説研究@『層 映像と表現』


渡邉大輔です。
ゆまに書房から発行されている、北海道大学大学院文学研究科映像・表現文化論講座の研究誌『層――映像と表現』第5号に、25枚ほどの研究ノート(査読つき)が掲載されています。

・研究ノート「戦中期における「映画国策」関係文献言説の特色」(『層――映像と表現』vol.5、ゆまに書房

層 vol.5―映像と表現

層 vol.5―映像と表現

以下に目次も載せておきます。

・絵画・映画・動画
◇力・ヒステリー・時間
ドゥルーズのベーコン論をめぐって   障泱・@真理子
◇出会いの準備
黒沢清『叫』における記憶・幽霊・イメージ(2)   川崎 公平
◇動く水 ―宮崎駿における原形質性と可塑性   横濱 雄二
◇〈原作〉の記号学
溝口健二監督『雨月物語』の《複数原作》と《遡及原作》   中村 三春
◇動物への生成変化、およびその速度
田壮壮の『狼災記』(二〇〇九)について   応 雄                   
・思想
◇〈啓蒙〉・「狂気」・歴史―デリダフーコーをめぐるノート   佐藤 淳二
・文学
◇初期江戸川乱歩論―「一枚の切符」・「二銭銅貨」の射程   押野 武志                   
・研究ノート
◇戦中期における「映画国策」関係文献言説の特色   渡邉 大輔

この研究誌は、いわゆる学会誌などではなく、Amazonなどでも買えるようなので、昨年10月の森話社の『日本映画の誕生』と同じく、僕の研究系の仕事では一般読者のかたにも比較的入手可能なテクストだと思います(まぁ、興味のあるひとも少なそうな内容ですが…)。
昨年ずっとやっていた、太平洋戦争中の日本映画に関する研究のひとつです。まあ、たった25枚の研究ノートなので、そんなに踏み込んだ論述はできていませんが。
さて、北海道大学は昨年の日本映像学会の口頭発表でも行きましたが、やはり何と言っても、昨年の本格ミステリ業界の一部で話題を呼んだ「アカデミズム論争」でも意図せず因縁をもってしまったところでもあります。…というか、いまだからいえますが、ちょうど市川尚吾氏の批判を受けて、僕がこのブログで反論し、論争をやっていた時期は、まさにその論点となっていたこの北海道大学の研究誌の締め切りの時期と重なっていたのです。何か因果を感じていました。
そういえば、その論争の論点にもなっていた『現代本格ミステリの研究』の著者・諸岡卓真さんとは、先日の文学フリマの会場で、今回寄稿されている川崎公平さんともどもはじめてお会いし、ご挨拶することができました。ずっと気がかりでしたが、直接お話することができ、とてもよかったです。