新刊共著/本格ミステリ作家クラブ編『見えない殺人カード』(講談社文庫)発売


ブログでは遅ればせながら、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。渡邉大輔です。
さて、2012年一発目の告知は、新刊共著のお知らせです。昨年の10月に出た専門書『日本映画の誕生』(森話社)に続く延べにして8冊目となる共著は、僕にとって初めての「文庫」なのですが、08年に出た講談社ノベルスの『本格ミステリ08』が文庫落ちしたものです。
同書は、僕も所属する<本格ミステリ作家クラブ>が、光文社と主催する「本格ミステリ大賞」とは別に、年間の本格ミステリの創作・評論の短編作品のベストアンソロジー集の08年度版。そもそも僕は、これに選んでいただいたのをきっかけに、本格ミステリ作家クラブに入ったのですが。そして、この僕の短めの森博嗣論は、07〜09年の間に、講談社の『メフィスト』で<限界小説研究会>がやっていたミステリ評論連載の第1回分。以後の連載原稿は、昨年の文学フリマで限界研がリリースした同人誌『genkai vol.1』に収録されています。

・論考「自生する知と自壊する謎――森博嗣」(本格ミステリ作家クラブ編『見えない殺人カード 本格短編ベスト・セレクション』、講談社文庫)

手に持った感じはこんな。
本の内容は、ノベルス版とほとんど同じですが、いちおう目次も挙げておきます。

序  辻真先
小説 はだしの親父 黒田研二
   ギリシャ羊の秘密 法月綸太郎
   殺人現場では靴をお脱ぎください 東川篤哉
   ウォール・ウィスパー 柄刀一
   霧の巨塔 霞流一
   奇遇論 北森鴻
   身内に不幸がありまして 米澤穂信
   四枚のカード 乾くるみ
   見えないダイイング・メッセージ 北山猛邦
評論 自生する知と自壊する謎――森博嗣論 渡邉大輔
解説 我孫子武丸

……なんとも、(僕以外)豪華な面々ですが、07年のこの原稿の執筆時、あるいは、08年のノベルス版の刊行時、いったい誰が、この作者たちのうちの一人が年間刊行小説最大のベストセラーの人気作家になり(というか、そのベストセラーの第1作目が収録されているわけですが)、このうちの二人が、図らずもそれなりに斯界の注目を集めてしまった舌戦を繰り広げてしまうと予想できたでしょう…。いや、僕に関しては、本当にすみません。反省しております。とはいえ、とにもかくにも月日の流れる早さを実感しているところです。
ただ、ほかの作家の方たちの小説はもちろんですが、僕の論考も5年経ったいま読んでも、その論点は結構まだまだ有効なのではないでしょうか。
ノベルス版を未読の方は、値段もいっそうお求めやすいこの文庫版を、ぜひ手に取っていただきたいと思っております。
よろしくお願いします。