『タンタンの冒険』(スピルバーグ)論@『ユリイカ』

渡邉です。
今日発売の『ユリイカ』12月号の<タンタンの冒険>特集に40枚ほどの論考を寄稿しています。
・論考「分割=共有された冒険映画――『タンタンの冒険』とスピルバーグ」(『ユリイカ』12月号、青土社

12月1日から全国公開のスティーヴン・スピルバーグ監督最新作『タンタンの冒険』に機を合わせた企画で、僕もエルジェの原作=バンド・デシネの論文というよりは、ほとんどスピルバーグについて論じた映画評論になっています。⇒映画の予告編はこちら
ユリイカ』での論文登場は、2月号のソーシャルネットワーク特集以来、ほぼ1年ぶりですが、ご依頼をいただいたのがけっこう締め切りのギリギリの時期だったので、大変でした。
ちなみに、僕は3年前の『ユリイカ』のスピルバーグ特集にも寄稿していて、スピルバーグ論は実質これで2回目の原稿になるのですが、前回の論文はそれじたい僕が発表した最初の映画評論であったこともあり、内容にはいろいろと不満があったので、じぶんとしては半分リベンジのつもりで書きました。
「ですます」調になっているのは、いろいろ考えるところはあるのですが、まぁ単なる気分です(笑)。実は今年は、『ゼロ年代+の映画』の論考から(いままでの僕の仕事の中でもアレな部類に入っているw?)ビジスタニュースの麻生久美子エッセイにいたるまで、プチ文体改造を密かにいろいろ試みていたのですが、まぁそのうちのひとつ。
しかし、今回は時間的余裕もなく、あまり勉強して書けなかったので、そこは反省点だと思っています。僕の前に掲載されている三浦哲哉さんの論文は面白いですね。
以下に目次も挙げておきましょう。なかなか豪華です。まだほとんど目を通せていないので、ゆっくり読もうと思っています。

■連載
  私の昭和史 戦後篇・続 最終回 / 中村稔
■夢遊する読書*11
  小説と画家宣言 / 横尾忠則
■詩
  星の家から / 中尾太一

                                                                                                                                                              • -

特集*タンタンの冒険  

【Tintin et Moi,aussi!】
リトルタンタンと僕 / やなせたかし
意を継ぐこと / 山田敏
カラブジャン号の秘密 / 川口恵子
エルジェ、その生真面目な輪郭線 / 江口寿史
家族を繋ぐ物語 / 坂本美雨
【Tintinology Chapitre 1】
もうひとつの地球を駈けるタンタンと仲間たち / 小野耕世
「タンタンの冒険」 と日本のマンガ / 竹内オサム
不死身の身体から生身の身体へ 「タンタンの冒険」 における人物描写 / 稲垣正巳
【対談】
ロータス・ブルーは時を越えて / 小野耕世×島田虎之介 [コーディネーター=中里修作]
【Tintinology Chapitre 2】
金のはさみの船長 タンタンとハドック / ジャン=マリー・アポストリデス (訳=古永真一)
タンタン学の冒険 / 古永真一
「タンタンの冒険」 という曲折 / 中里修作
【物語をかたちづくるもの】
タンタンの宝石箱 / 山田登世子
タンタンと大衆文学の系譜 / 小倉孝誠
それは何者でもない 空の器としてのタンタン / 蘆田裕史
「タンタン」 をめぐるボーイスカウト精神の伝承 B=Pからエルジェ、そしてスピルバーグへ / 鈴木沓子
【インタビュー】
タンタンとスピルバーグを21世紀へ連れていった男 / ピーター・ジャクソン [取材・文=宇野維正]
【時をかける冒険の遺伝子】
スピルバーグのジェットコースター映画 『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』 / 加藤幹郎
永遠の少年と 「いまここ」 の消滅 / 三浦哲哉
分割=共有された冒険映画 『タンタンの冒険』 とスピルバーグ / 渡邉大輔
【資料】
「タンタンの冒険」 シリーズ全話解題 / 中里修作
エルジェ年表 / 中里修作

                                                                                                                                                              • -

■今月の作品
  本城治祐 尾久守侑 / 選=小池昌代
■われ発見せり
  概念と主体――カンギレムの生命哲学をめぐって / 柵瀬宏平
ユリイカ2011年 総目次