トーク「嘘の向こうの美ちなる方へ」出演@第21回映画祭TAMA CINEMA FORUM


先月からほぼ1週間ごとに締め切りがある怒涛の日々からとりあえず解放された渡邉大輔です。
いまは仕事はちょっと凪の状態ですが、またすぐに毎年恒例の下読みの仕事やら懸案の原稿やらが待ち構えています。
そういえば、最近、話題のスティーブ・ジョブズの伝記もようやく読了しましたが、確かにこれは映画にしたら面白くなりそうですね。

さて、今月あるトークイベントの告知です。
来る19日(土)から27日(日)まで多摩市で開催される映画祭<第21回TAMA CINEMA FORUM>の中の1プログラム、23日(水)の「嘘の向こうの美ちなる方へ」の映画上映後のアフタートークに司会役ゲストとして出演します。映画祭の公式サイトはこちら⇒第21回映画祭TAMA CINEMA FORUM
上映作品は、今年公開の日本映画でもとりわけ話題を呼んだ若手監督の2作品、瀬田なつき監督の『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』と、入江悠監督の『劇場版神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』。⇒人生楽もあれば苦もあるさ – Just another WordPress sitehttp://www.kamattechan-movie.com/

一緒に登壇させていただく出演者は、両作品の監督である入江悠さんと瀬田なつきさん、そして、『劇場版神聖かまってちゃん』に出演されている女優・作家の森下くるみさんです。会場はベルブホール。
詳細はこちら。

11月23日(水・祝)ベルブホール 第2部

嘘の向こうの美ちなる方へ

嘘/虚構を越えて、私は私を生きていく。まだ見ぬ先へと踏み出す美しさを、気鋭の監督が描く。
15:15−17:05  嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん
17:15−18:44  劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ
18:50−19:30  トーク ゲスト:入江悠監督、森下くるみ氏、瀬田なつき監督、渡邉大輔氏

チケット料金 一般:前売1,000円 当日1,300円
子ども(4歳〜小学生):前売800円 当日900円
 
Pコード:558-660 Lコード:Lコード:36188

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん

2010年/2010「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」製作委員会製作/角川映画配給/1時間50分
監督=瀬田なつき
原作=入間人間
撮影=月永雄太
音楽=木下美紗都
主題歌=柴咲コウ

出演=大政絢染谷将太田畑智子鈴木京香

ストーリー
僕・みーくん(染谷)の幼なじみ、まーちゃん(大政)。とっても可愛いけど、乱暴でワガママで、壊れた女の子。僕はキミを守る。だって、世界で一番キミを××してるから……。嘘だけど。

僕とまーちゃんは、10年前の誘拐監禁事件の被害者同士。不穏な連続殺人事件が起きている街で僕らは再会し、一緒に暮らすことにした。そんなとき、精神科医の先生に聞いた。殺人事件を捜査する刑事が、僕らを容疑者扱いしてるらしい……。

コメント
ファンタジックでポップでキュートでとっても愛おしい。奇しくも、僕も「みーくん」だから、あんな風に、みーくんみーくんみーくん! と、連呼されたいものである。……嘘だけど。

いやいやいや、僕にはみーくんみたいに、どんな時でも、女の子を、淡々とした顔をしながらもしっかり守れる自信などまるで無い。まーちゃんみたいな女の子なんて、特に。

以前、こんなことがあった。「束縛してほしい」と恋人に言われ、頑張って毎日電話をし、毎日メールを送った。優しすぎる僕はそんな要求に答えることが苦痛になり、結局6ヶ月で別れを告げてしまった。……10%嘘だけど。(瑞)

劇場版 神聖かまってちゃん
ロックンロールは鳴り止まないっ

2011年/2011「劇場版 神聖かまってちゃん」製作委員会製作/SPOTTED PRODUCTIONS配給/1時間29分
監督・脚本・編集=入江悠
撮影=三村和弘
音楽=池永正二

出演=二階堂ふみ森下くるみ劔樹人神聖かまってちゃん(の子、mono、ちばぎん、みさこ)

ストーリー

神聖かまってちゃんの大規模なライブまであと一週間。プロ棋士を目指す女子高生(二階堂)、ショーパブで働くシングルマザー(森下)、神聖かまってちゃんのマネージャー(劔)。別々の場所で様々な悩みを抱える彼らのくすぶった心に神聖かまってちゃんの歌が着火し、それぞれの運命が走り出す。

コメント

「夜のなかを歩みとおすときに助けになるものは、橋でも翼でもなくて友の足音だ」−−W. ベンヤミン

友の足音は、「遠くで近くですぐ傍で」聞こえる。何気なく聞き流していたロックの名曲があるとき突然波打って耳に注ぎ込み、全身を震わせたときの衝撃を歌い上げた神聖かまってちゃんの代表曲は、聴く者を奮い立たせる。本作の登場人物は互いに交わることがない。しかし、彼らは、ネット配信される神聖かまってちゃんの音楽でつながり、それぞれの葛藤を乗り越えようとする。互いに遠くにいながらもそれぞれが自らの足音を鳴らして共鳴するとき、夜闇へ踏み出すおぼつかない一歩は次第に確かなものになるだろう。

周囲とのギャップ、逆境、古い価値観の押しつけ……。それぞれの障壁は異なるが、覚悟を決めて立ち向かう姿はみな美しい。批評的なギャグを交えながら温かいしっかりとした眼差しで描かれる彼らの姿は愛おしい。鑑賞後の胸の高鳴りがいつまでも鳴り止まないっ!(佐友)

ゲスト紹介
入江 悠 監督
Irie Yu
1979年生まれ。映画監督。『SRサイタマノラッパー』で第50回日本映画監督協会新人賞、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭グランプリなど。ほかの代表作に『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』、『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』など。シリーズ最終章となる最新作『SRサイタマノラッパー3 ロードサイドの逃亡者』は来春公開予定。

森下 くるみ 氏
Morisita Kurumi
1979年生まれ、秋田県出身。現在の活動は、短編小説、映画の脚本、月刊雑誌や携帯配信用のコラムなど、執筆業が中心。著書に「すべては「裸になる」から始まって」(講談社文庫・映画化が決定、来春公開)、「らふ」(青志社)、短編収録作として「七つの濡れた囁き」 (新潮文庫)、「華恋絵巻」(宝島社文庫)がある。12年冬に、講談社文庫から短篇集が出版される予定。

瀬田 なつき 監督
Seta Natsuki
1979年生まれ、大阪府出身。東京芸術大学大学院映像研究科映画専攻修了。主な監督作に『彼方からの手紙』(2008年)、『あとのまつり』(09年)などがある。11年1月にメジャー映画長編作品『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』、10月に『5windows』(出演:中村ゆりか染谷将太斉藤洋一郎、長尾寧音)が上映された。

渡邉 大輔 氏
Watanabe Daisuke
1982年生まれ。映画史研究者・批評家。現在、日本大学藝術学部非常勤講師。「群像」「ユリイカ」などに寄稿。共著に「日本映画史叢書15 日本映画の誕生」(森話社、近刊)「ゼロ年代+の映画」(河出書房新社)「本格ミステリ08」(講談社)「floating view――郊外からうまれるアート」(トポフィル)などがある。早稲田文学ウェブサイトで「イメージの進行形――映像環境はどこに向かうか」を連載中。

もちろん、僕もどちらの作品も公開時に劇場で観ているわけですが、入江監督は、日芸映画学科のOB同士(しかも卒業年が一年違い)で『劇場版神聖かまってちゃん』については、連載「イメージの進行形」でも取り上げさせていただきましたし*1、瀬田監督は、むかし映画美学校で『とどまるかなくなるか』を含め、『彼方からの手紙』『あとのまつり』など短編作品の傑作群もなるべく追いかけて観ていました。そう、『あとのまつり』は09年の『映画芸術』の日本映画ベストテンにも選出しています。
一方、森下さんは、僕の世代にとっては、なんというか憧れの女優さんですし、03年の日芸の大学祭(芸祭)にも講演に来られていたように記憶しています。講談社文庫の『すべては「裸になる」から始まって』や『エソラ』に掲載された短編作品も面白く読んでいました。
当日は、このお三方をまえに、一人無名の僕が司会という大役を務めさせていただくわけです。映画祭の上映コンセプトとしては、「嘘」だそうですが、ほかにもこの両作品、いずれも優れた「郊外映画」であるという共通点もありますし、また、(瀬田監督にとってはとりわけ)どちらも「子どもの映画」でもある。そのへん、両監督が互いの作品をどのように観てらっしゃるのか、あるいは、映画初出演となった森下さんの今後の出演のお気持ちは、など、いまからいろいろ訊いてみたいことはたくさんあります。
劇場で見逃してしまった方も、一度ご覧になっている方も、何度もご覧になっている方も、23日の午後から夜はぜひ「美ちなる方へ」を口ずさみながら、「嘘の向こうのベルブホールの方へ」いらしていただければと思います。