美術論・シンポジウム・座談会・インスタレーション作品@『floating view "郊外"からうまれるアート』展覧会カタログ+論考集


渡邉大輔です。
毎日暑いですね。ぼくはすでに夏バテ気味です。
さて、仕事の告知です。
タイトルにもあるように、今年2月末から東日本大震災による中断を挟んで、約1ヵ月間、トーキョーワンダーサイト本郷で開催されていた伝説的な(笑)美術展の記録と関連テクストを集成した展覧会カタログ+論考集が、ついに、リリースされることになりました。版元は、この度、展覧会主宰者の佐々木友輔さんが立ち上げた、自主出版レーベル「トポフィル」です。⇒トポフィル|topofilIndex
ぼくは、このカタログでは、展覧会にも「アーティスト」として出品したテキスト・インスタレーション作品の再録と、70枚近い初の本格的な現代美術論、参加アーティストのみなさんとの座談会、そして、3月5日に会場で行ったシンポジウム記録に登場させていただいております。
・テキストインスタレーションimageneological tree――映像圏がつくるイメージの系譜」(佐々木友輔編『フローティング ヴュー 郊外からうまれるアート floating view new artists fron suburbia』、トポフィル)
・論考「浮遊するまなざしのかなたに――映像圏からfloating viewへ」(同上)
・佐々木友輔、清野仁美、丸田ハジメ、若林幹夫とのシンポジウム「AR(拡張現実)風景論」(同上)
・川部良太、坂田希究、笹川治子、清野仁美、ni_kaとの座談会「浮遊する景色」(同上)
トポフィル|topofiltopo001

floating view 郊外からうまれるアート

floating view 郊外からうまれるアート

トポフィルによると、8月以降は、同時出版の小田原のどかさん責任編集の作品集『あなたはいま、まさに、ここにいる』とともにAmazonでも販売開始されるそうです。また、都内大手書店さんにも委託販売を目下検討中とか。
とりあえず、現在18日まで3331 Arts Chiyodaで開催中の「the tokyo art book fair2011」で絶賛先行発売中。
以下に目次を挙げておきます。

【図版】
 石塚つばさ
 笹川治子
 門眞妙
 清野仁美
 遠藤祐輔
 ni_ka
 川部良太
 佐々木友輔
 藤田直哉

【chapter.1 郊外的環境から生まれるアート】

 [論考] 佐々木友輔|拡張された郊外におけるアート

 [論考] 若林幹夫|“郊外”と“アート”をめぐる10の断章

 [論考] 藤原えりみ|サヴァイヴァル・ディーヴァは郊外都市となるか?

 [論考] 藤田直哉|郊外の美学の構築にむけてのメモランダム

 [コラム] 遠藤祐輔|blog「finalfilm」

【chapter.2 AR(拡張現実)としての郊外】

 [論考] 丸田ハジメ|郊外の可能性—場所論からみたfloating view展—

 [シンポジウム] 丸田ハジメ、若林幹夫、渡邉大輔、清野仁美、佐々木友輔|AR(拡張現実)郊外論

 [論考] 渡邉大輔|浮遊するまなざしのかなたに——映像圏からfloating viewへ

 [コラム] ni_ka|AR詩「2011年3月11日へ向けて、わた詩は浮遊する From東京」

【chapter.3 今この環境を捉えなおす】

 [論考] 石塚つばさ|floating view 漂流の手引き

 [対談] 柳澤田実×石塚つばさ|生のリアリティから環境を捉える——「ライン」の制作と母としての哲学

 [論考] 池田剛介|保存して解凍する

 [コラム] 田代未来子|blog「み」

【chapter.4 郊外と映画】

 [論考] 大場正明|サバービアは今も憂鬱か——ゼロ年代以降のサバービアムービーと郊外映画

 [対談] 宮台真司×佐々木友輔|風景に体温を合わせて撮る

 [論考] 渡邉大輔|imageneological tree― 映像圏でつくるイメージの系譜

 [コラム] 川部良太|田舎・記憶・地元

【chapter.5 フローティングヴュー/第一浮遊記録】

 [座談会] 石塚つばさ、遠藤祐輔、佐々木友輔、田代未来子、中山亜美|浮遊する眼差し

 [座談会] 川部良太、坂田希究、笹川治子、清野仁美、渡邉大輔、ni_ka|浮遊する景色

 [論考] 佐々木友輔|floating viewアーティストファイル

 [コラム] 門眞妙|個展「ドラマ」ステイトメン

ご覧の通り、アマチュアベースの展覧会カタログとは思えない、キレキレの気合いの入りまくった本になっています。図版やデザインも綺麗です。この美術展は「郊外とアート」の新たなかかわりが大きなテーマだったわけですが、この分野を代表する書き手(アーティスト、批評家、研究者)が一堂に集まったといった感じ。個人的には、かつて東浩紀さんの『波状言論』や『美少女ゲームの臨界点』がもっていた熱さと似たものさえ感じます。はっきり言って、佐々木くんは本気です。マジでヤバいです。新しいアートの動向に関心がある方は、ぜひこのカタログを手に取ってみてください。
……そして、floating viewプロジェクトは、まだまだ続くようです。ぼくもまた、思わぬかたちで参加するかもしれないし、どうなるか。ともかく、引き続き、ご注目ください!